岩壁調査用語集

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岩壁調査用語集

岩壁登はん調査でよく使われる言葉を解説します。 地質・土木の用語だけでなく、ロッククライミング用語もとりいれられています。 

ゆるみ

岩盤において、亀裂が開口することにより本来の岩盤強度が損なわれている状態をいいます。 

落石

単一、もしくは複数個の岩塊が、斜面や岩壁を落下する現象。 落下した岩塊も、落石と呼びます。 落石した岩塊がもともとあった場所を落石源、落石 が通過したコースを落石経路と呼び、落下中の落石が落石経路上の別の岩塊に接触することによって新たな落石を連鎖的に誘発することも多い。 

浮石

地山露岩の一部を構成する、落石の可能性のある不安定な岩塊。 

浮石群

複数の浮石が一定範囲に散在・集合している場合、便宜上、浮石群として一括して扱うことがあります。 浮石同士が散らばった状態にあるものを散在型の浮石群、一方、浮石同士が積み重なった状態にあるものを集合型の浮石群と呼びます。 

転石

もともと岩盤の一部であったものが落石等何らかの原因で移動して、現在ある場所に転がっている、再度落石する可能性のある不安定な(根無し)岩塊。 

転石群

浮石群と同様に、複数の転石が散在・集合している場合、便宜上、転石群として一括して扱うことがあります。 散在型、集合型の区分も同様です。 

不安定ブロック

サイズの比較的大きな浮石もしくは浮石群を不安定ブロック(不安定岩塊とも)とよび、浮石や浮石群と区別して扱う場合が多いです。 サイズの目安としては、現場ごとの個別判断となりますが、4mもしくは10m以上でしょうか。 落石(というか崩落)時には、複数の岩塊に分離する可能性もあります。 なお、これは重大なことでありますが、不安定ブロックは大抵の場合、よほど念頭において丹念に観察しないと見逃しがちであり、遠望だけでは気づかず近接目視・直接観察で初めて発見されるケースがほとんどで、しかも落石(岩盤崩壊)時の影響が大きいだけに、決して見逃さないように配慮しなければなりません(後述のゆるみ範囲も同様です)。 

ゆるみ範囲

サイズの比較的大きな集合型の浮石群を『不安定ブロック』とは呼ばずに『ゆるみ範囲』と呼ぶことがあります。 サイズの目安としては、不安定ブロックと同様4mもしくは10m以上でしょうか。 不安定ブロックとの違いは、境界面が不安定ブロックほど明瞭でない点が大きいですが、実際の判断は現場ごとの個別判断となります。 

HWD

浮石・浮石群、転石・転石群、不安定ブロック・ゆるみ範囲のサイズは、高さ(Height)、幅(Width)、奥行き(Depth)【略称HWD】で表わす。 なお、散在型の浮石群(および、同転石群)においては当然、HとWで表わすことになります。 また浮石群、転石群、不安定ブロック、ゆるみ範囲の4者は対策工法の検討上、落石時に分離して発生する落石岩塊のうち予想される最大サイズを記載する必要があります。 

浮石・転石の不安定度

落石として落下する可能性の程度。 落石対策便覧に準拠した安定度AA、A、B、C、D の5段階表示が一般的です(後述)。 安定度を的確に判断するには知識・経験の豊富であることはもちろん、近接目視・直接観察により浮石に直接触れる距離まで近づいて念入りに観察することが必要です。 なおこの安定度はあくまでも落石発生の可能性の程度をあらわしており、落石が斜面の途中で停止して保全対象に到達しない可能性等は除外しています。 したがって落石対策工の検討には安定度だけでなく落石の到達範囲や落石経路の判断も加える必要があります。 さらにつけくわえると、浮石などの写真、スケッチは不安定度を的確に表現したものであるべきで、撮影アングルなどに十分な配慮が必要です。 

安定度の表示方法

図面上において、各浮石・転石毎に安定度を表示した上で、彩色によっても安定度が一目瞭然に理解できるように工夫します。 色の選択としては、赤黄緑の交通信号機にならって、安定度A(不安定)は赤色、B(やや不安定)は黄色、C(ほぼ安定)は緑色とし。 安定度AA(著しく不安定)は紫色にして、赤色よりも目立たせます。 安定度D(安定)は無色とします。 

安定度評価基準

既述のように、浮石・転石調査において安定性の判断基準は落石対策便覧に準拠したうえで、岩壁や急崖でも適用しやすいように表現方法を若干、変更しています(別記資料参照)。 具体的には、落石対策便覧(以下、便覧)では安定度評価については、53ページの『図2-9 現地観察による安定度評価の一例』において、安定状態1から安定状態5までのアラビア数字での5段階区分が示されています。 一方、便覧55ページの『精査結果の平面図』における「転石・浮石安定度評価凡例」には、ランクAA、ランクA、ランクB、ランクCのアルファベットでの4段階区分が示されています。 そこで、前者の5段階区分を尊重した上で、後者のアルファベット表示を取り入れた形で、ランクAAからランクDにいたるアルファベット表示による5段階区分にしました。 
実際の運用上はランクAAは安定状態1、ランクAは安定状態2、ランクBは安定状態3・・・・・という具合に機械的に読み替えることもできます。 

浮石・転石以外の不安定度

浮石群、転石群、不安定ブロック、ゆるみ範囲のそれぞれにおいての安定度の評価・表示は現場ごとにケースバイケースです。 散在型の浮石群・転石群については、代表的な(最も不安定な、あるいは最大サイズの)浮石・転石の安定度で、浮石群・転石群の安定度を表すこともよくあります。 不安定ブロックやゆるみ範囲の安定度については、崩落時の規模が大きい反面、安定度の判断がつきかねることも多いです。 

亀裂

クラック、岩の割れ目、岩盤内の不連続面。 開口している亀裂が開口亀裂、開口していない亀裂は“密着”している、もしくは密着亀裂(あまり使わな い)と呼びます。 別の呼び方として、密着もしくはほとんど開口していない亀裂をヘアクラックと呼ぶこともよくあり、開口幅の目安としては1mm以下とさ れることが多く、2から3mm以下のケースもあり、現場ごとに個別に判断しているようです。 なお、肉眼では識別しづらい微細な亀裂は潜在亀裂といいま す。 スポーツクライミングの世界では開口亀裂を、開口幅に応じて様々に呼び、ヘアクラック、フィンガークラック、ハンドクラック、オフィズスクラック (肩、半身)、チムニー(全身。 チムニークラックとは呼ばない)というふうに使い分けています。 また、岩壁面に平行な開口亀裂が数cm間隔に発達し、本 を手に取るように、あるいはページをめくるようにはがれてくる状態をオープンブックと表現します。 ちなみに開口亀裂に挟まった岩のことをチョックストー ン(写真参照)、塔状に上方に突き出した岩をピナクル(岩塔)と呼びます。 ところで開口亀裂には成因的に2種類のものがありますよね。 何らかの原因で 亀裂がガガーと開いたいわば“真の”開口亀裂と、亀裂沿いの風化や浸食などにより隙間ができた、もしくは拡がったいわば“エセ”開口亀裂です。 数的には 後者の“エセ”が圧倒的に多く、前者の“真の”開口亀裂も、その後“エセ”開口亀裂化しがちです。 不安定度の評価をする際にはこの開口亀裂の成因を正し く判断し、エセ開口亀裂を不安定側に過大評価することの無いように留意すべきです。 また、開口幅も、奥に行けばすぐに狭くなる、もしくは密着する亀裂 の、表面入り口近くの幅を測定してしまっている例がほとんどなので、岩盤接着工などの検討に必要な亀裂のボリューム計算時には過大評価に要注意です。 


チョックストーン (YouTube,Matt Harding,Dancing(2006)Outtakesより)

節理

方向性のそろった亀裂。 通常の岩盤では2方向、もしくは3方向の節理(節理系とも表現する)が発達することが多い。 よく知られているのは柱状節 理で、玄武岩や溶結凝灰岩に発達する冷却節理(クーリングジョイント)の一種であり、溶けた溶岩や火砕流堆積物が冷却・固結する際の収縮によって発生する ものなので、当然ながら節理面は生成当初から開口しています。 花崗岩では方状の節理が発達することが多く、おたがいにほぼ直交する節理面により立方体状 もしくは直方体状の岩塊が積み木状に重なっています。 節理面の方向はクリノコンパスで測定しますが、測定面から少しはなれて、大局的な方向をよく見定め た上での走向・傾斜測定をこころがけるべきです。 また測定データは記号でスケッチ・地形図等に直接書き込むようにすれば、ありがちな測定結果の間違いが 防げます。 

断層

岩盤内の不連続面の一種で、ずれを伴っている。 岩盤登はん調査で見かけることは少ないが、岩盤崩壊の素因にもなりやすいので注意が必要です。 

層理・地層

地層と層理は同じような意味合いで使います。 地層面と層理面も同様です。 

流れ目・差し目

地層面や節理面が岩壁面に向かって手前側に傾斜している場合、傾斜している面を流れ目(流し目ではない)と呼び、流れ目が発達する岩盤を流れ盤とい います。 逆に地層面や節理面が岩壁面に向かって向こう側に傾斜している場合、その面を差し目と呼び、差し目が発達する岩盤を受け盤(差し盤とは呼ばな い)といいます。 

岩壁面の表現方法


↑ 『役立ち100の登山用語』野村仁/著 中尾雄吉/絵199項

スポーツクライミングの世界では前出の開口亀裂だけでなく、岩壁面を表す様々な表現が使われています。 フェイス(フェースともいう)とは、凹凸や クラックの少ない、垂直に近く切り立った岩壁面のことで、岩壁面に平行な節理面を反映していることが多いです。 スラブとは、凹凸やクラックの少ない、 のっぺりしたすべり台状の岩壁面のことで、流れ目方向に傾斜した層理面や節理面などの不連続面を反映していることが多いです。 テラスとは岩壁途中にある 平らな場所で、数人が座れるぐらいの広さがあります。 もっと広ければバルコニーと呼び、テラスが幅狭く帯状に続けばバンドと呼びます。 亀裂やバンドが 右上がりにあがっていくのを右上(うじょう)、左上がりに上がっていくのを左上(さじょう)といいます。 オーバーハングとは、岩壁が逆傾斜して覆いかぶ さっている状態のことで、さらに屋根状に張り出せば、ルーフと呼びます。 大きな岩壁が植生等で上下に分かれていれば上部岩壁、下部岩壁と呼び、さらに、 上方にある岩壁を上方岩壁、下方にある岩壁を下方岩壁と呼んだりもします。 スカイラインという言葉もよく使われます。 斜面上において、通常の谷地形は ルンゼとよばれ、ルンゼの中でも急峻にえぐられた感じの場所をガリーといいます。 地質の世界で使う“ガリー状”とはニュアンスが若干違うようでおもしろ いです。 岩尻・岩肩は法尻・法肩に対応する表現で、これは岩壁登はん調査においていつのまにか使われるようになった言葉です。 

湧水

岩壁ボーリング

測線

簡易横断測量

浮石や岩盤状況などの観察地点の位置情報は、基本的にまっすぐ(斜面の最大傾斜方向に向かって)下降するという、ロープアクセス技術の特徴を生かし ての、巻尺(30m、50m、100m等)と傾斜計(地質調査用のクリノコンパス)等による下降・調査しながらの簡易横断測量により、高精度なデータが得 られます。 ちなみにこの手法は、それほど急峻でなく、ロープアクセス技術の必ずしも必要でない急斜面での浮石・転石・落石調査にも有効で、位置特定の精 度向上に貢献できます。 

鳥かん図

テクニカルイラストレーション

遠景マン

ロープアクセス調査技士・技師

 

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