Hola. 皆さん、こんにちは。 エルサル出身、ファビオです。 2017年春 バルセロナ(スペイン)にてIRATA講習を受講。 私のすばらしい体験を、皆さんにご説明します。
剣道初段、来日10数年、エルサルバドル大で建築を学んだ、母国ではエリート?かもしれない大和魂の持ち主&きぃすとん中堅スタッフの私、侍・ファビオが単身、旧宗主国スペインはカタルーニャ州に乗り込む。 すわ、道場破りか?!
そもそもは、きぃすとんの社長さんの一言が、事の始まり。 「IRATAって、本当にロープを2本使っているの? 怪しいで!」と。 「ほな、自分が確かめてきますわ!」と、関西弁のファビオ侍。 「IRATAの技術を確かめに来た・・・と、予め説明して了解をとったうえでいくんやで」との指示を受け、豪華海外出張と相成る。
講習では、目新しい技術はとくになし。 いまさらの初歩的な技術、日本とは感覚の違うロープの扱い方に戸惑う。 講師の先生方や、20名ほどの講習生仲間と楽しく交流し、お互いのロープアクセス技術や業界のことを情報交換する。 以下に、SORATや日本の慣習と大きく違う点を列記してみます。
IRATAでは、個人装備は借り物(びっくり仰天)。 現場で貸与され、使い方や使い勝手のわからないギアが混じっていたり、誰が使ったものかもわからず、破損しているかも知れず・・・。 よくわからないままに使ってみて・・。 これが原因の墜落事故も多いと聞く。
IRATAでは、移動は基本、上下移動のみ。 あらかじめ支点から垂らしてある2本のロープに下降器(と、墜落防止器具)を(それぞれに)セットして下降。 目的地点に到達して、所定の作業を実施。 作業が終われば再び2本のロープに、今度は登高器(と、墜落防止器具)をセットして登高して戻ってくる。 日々、これの繰り返し。 とくに意識してロープアクセス技術を磨いているわけではないが、経験時間はカウントされ、資格レベルのランクアップに反映される。
IRATAでは、ロープの設置は“上位資格者”のみが許される作業。 “通常資格者”は、上位資格者が設置したロープを使って下降・登高する。 通常資格者はロープの設置を自分で実施することは許されていない。
IRATAでは、ロープ1本が切れたりしても墜落しないように、“もう1本のロープ”を使うことが、厳格に義務づけられている。 ちなみに、2本のロープのうちメインロープのことをワークロープ、もう1本のロープのことをサブロープ(日本の法律ではライフライン)と呼ぶ。
IRATAでは、ロープを2本使うことが厳格に義務づけられているが、英国では厳重に守られ、フランスやドイツでも守られているようだが、イタリアやスペインではそれほどでもないようです。 あるある、ですね。 ちなみに英国でもツリークライミング業界は(当然ですが)、ロープ1本だそうです。
IRATAではロープ技術はすでに確立されたもの。 技術革新はもとより、単なる技術改良すら消極的のようです。 公認されたギア以外は、どんなに優れていても、使用は禁止されている。 すでに確立された技術として厳密な技術ルールがあり、組織としても大きくなりすぎ、閉鎖的にならざるを得ないのか?
IRATAでは、な、なんと・・メインロープ(ワークロープ)とサブロープは、ひとつながりの長い1本のロープである。 ひとつながりの長いロープの中央にラビットノットを作り、二つの“耳”をそれぞれ別々の支点Aと支点Bに固定する。 ノットから垂れる2本のロープ。 うち1本をワークロープ、もう1本をサブロープとして位置づけることになる。 うぅぅん、どうなんでしょう。 本来ならメインロープは支点Aと支点Bに固定し、サブロープは支点Cと支点Dに固定すべきです。 実際上は、支点を別々にA、B、C、Dと4点確保することは困難なので、妥協したのでしょうか?
IRATAでは、な、な、な、なんと、サブロープどころかメインロープも使わない、いわゆるNRTも取り入れているらしく、トラバース技術として講習生に教えている。 ど、ど、どないなってるんや? 今回一番のビックリです。
IRATAでは墜落事故が結構発生しているらしい。 配布・公表されているレポートを見ると、技量の低さ・安全意識の欠如からくるケアレスミスによる墜落事故が、少なくない。 ロープを2本使っているにもかかわらず。 というか、ロープを2本使っても、本質としての技量や安全意識が変わらない限り、墜落事故は減らないのでは? 日本の法面工事やガラスクリーニング業界と一緒ですよね。 ちなみに、健全なロープが荷重により単純に切れる墜落事故例は、日本同様、ほぼ皆無です。
IRATAでは、ロープユーザー(技術資格者)は職人さん達です。 きぃすとん/SORATにおいてはロープユーザー全員が技術者である・・・という事実は理解しがたいようです。 職人は職人、技術者は技術者、生まれが違う、言葉も住んでいる地域も学校も結婚相手も違う。 職人は技術者にはなれないし、技術者も職人にはなれない・・・階級社会? 日本人にはよくわからない世界ですね。 では、調査・点検・検査は誰がしているのでしょう?
IRATAでは調査・点検・検査は、職人がビデオカメラ等で撮影したデータなどを、技術者が机上で分析しているとのこと。 技術者がロープアクセスすることは、ないとのこと。 日本ではSORATの技術者チームが、橋梁点検等での高所・難所での近接目視・直接観察に大活躍。 お国柄の違いでしょうか、おもしろいですね。 SORATの世界普及、みえてきました。
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